棟梁

日頃懇意にしている木曽檜の本場・南木曽町の

大工の棟梁の加工場に立ち寄った。

木曽檜の香りが漂い、先々代から受け継がれた手斧(ちょうな)や
使い込まれた墨壺、鉋を使っていた。

今の住宅には必要のない物ばかりだと思う。

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「若い頃は親方から曲尺でよく頭を叩かれて教え込まれた」

と温和に笑っていた。

木曽檜の一本一本の性格を見極めて、柱や梁になる。

木の持つ性格を熟知して見極めないといけない。

今このような職人は少なくなっているように思える。

「俺の作ったストーブにあたってくれ」と加工場の隅の鉄板ストーブに鉋屑で火を入れてくれた。

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「これが最高のストーブだよ」と言ったら、

照れ笑いを浮かべていた。

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時々顔を見に行きたくなる人である。