第3回-2 八角丸太小屋 移築日記「いざ新天地へ」

第3回-2 八角丸太小屋 移築日記「いざ新天地へ」

2017.09.13

丸太小屋の移住先が決まった。千葉県館山市在住のフルート奏者の深津純子さんがコミュニティ・ガーデンのメインロッジとして使ってくれるという。築30年の丸太小屋。行かず後家の娘を嫁に出す親の気分だ。大事に送り届けなければならない。
屋根の解体にひと苦労したあと、壁面の丸太組みをばらしていく。八角形の丸太小屋なので、4面ずつ交互にノッチで組んである。それを1段ごとにはずしていく。基本的には、下からボルトを通して締めているが、ところどころに5寸クギが叩き込んである。これが錆びていて、抜くのに苦労した。雨に当たって腐りが出ている丸太があった。シロアリにやられた丸太もあった。
丸太には、面ごとに番号を書いた。この字が識別不能で、あとで頭を悩ますことになる。というのも、「番号記録係?」が、意外に几帳面な男で、丸太の端に細いペンで小さい文字で書いた。それが、クセ字の上に、運ぶ途中でこすれたり、雨に流されて判別できなくなった。さらに、別の「適当男」が勝手に番号を書き直したために重複が出た。現場は、難解なジグソーパズルのような百数十本の丸太の山を前に、頭を抱えた。そのため、しばしば作業が中断した(責任者、出てこい!)。
何とか壁面の丸太を解体し、芯柱をはずし、床をはがす。基礎石は現場でつくったもので、大きくて重い。「どすこい!」と体当たりで倒す。解体した丸太は数百本。山の上から、軽トラが入れる場所まで運び出さなければならない。坂に丸太や半割りにした塩ビ管を敷いて、丸太はその上を滑らせる。そこから車までは担いで運ぶ。人間の潜在能力、火事場のクソ力に感動させられる。すべての資材を現場へ運んだ。
常春の、房総の海が見える新天地。八角の丸太小屋がここに甦る。難問山積・悪戦苦闘の、楽しい移築作業が始まった。

壁の丸太や床をはずす!

基礎石、丸太を山から下ろす!

移築先での建て直しがスタート!