陶磁器の少女
2017年2月10日
この少女が我が家に来てもう30年が過ぎる。
私が勤め人だった頃、ある会社の事務所の出窓に少女はほこりをかぶり、クモの巣が張り、夏は西日が当たっていた。
かわいそうに思い、いつも気になっていた。
ある時、その会社の所長にそのことを伝えたら、所長は「邪魔になっていたところだからやるよ」と言った。
1976年生まれ、生まれた国はスペイン、年頃は10歳か12歳頃か。
胸のふくらみが少ない。(当方のことをスケベな中年オヤジだと思わないでいただきたい?)
清楚で可憐な少女である。
後ろ手に帽子を持っている。
踊り子だろうか。
誰を待っているのであろうか。
人は、歳を重ねるごとに老いていく。
生物としての静物である陶磁器の少女は、
部屋の片隅で忘れられていたり、思い出されたりして、
歳をとらずにその時のままの姿で静かに佇んでいる。
今朝の伊那谷