陶磁器の少女

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この少女が我が家に来てもう30年が過ぎる。

私が勤め人だった頃、ある会社の事務所の出窓に少女はほこりをかぶり、クモの巣が張り、夏は西日が当たっていた。

かわいそうに思い、いつも気になっていた。

ある時、その会社の所長にそのことを伝えたら、所長は「邪魔になっていたところだからやるよ」と言った。

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1976年生まれ、生まれた国はスペイン、年頃は10歳か12歳頃か。

胸のふくらみが少ない。(当方のことをスケベな中年オヤジだと思わないでいただきたい?)

清楚で可憐な少女である。

後ろ手に帽子を持っている。

踊り子だろうか。

誰を待っているのであろうか。

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人は、歳を重ねるごとに老いていく。

生物としての静物である陶磁器の少女は、

部屋の片隅で忘れられていたり、思い出されたりして、

歳をとらずにその時のままの姿で静かに佇んでいる。

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今朝の伊那谷