第3回-6 八角丸太小屋 移築日記「完成だ!」

当初「丸太小屋の移築なんか、1週間か10日もあれば形になるさ」などと豪語していた。もちろん、解体、運搬がすんで、現場に基礎ができていての話だが、今回は、その予想が”大甘”だった。
10坪程度の、吹き抜けの丸太小屋。すでにノッチが刻まれて組んであるのだから、それをばらして、順番通りに組み直していけばいいだけで、人手さえあればバタバタと進むはずだった。
ところが、八角の丸太小屋だったために手こずってしまった。解体時に丸太に書きしるした番号が認識不明だった。傷んだ丸太もあって、新しい材に入れ替えしなければならなかった。
さらに丸太小屋が八角形で、対角線の四面ずつを交互に組んでいかなければならず、わずかなノッチのズレを現場合わせで修復していくうちに、ズレがますます大きくなって、建物が歪んでいく。一般の丸太小屋のように、直角に組んでいくだけなら、こんな苦労はしなくてすんだはずだと、愚痴ってみても仕方がない。
悪戦苦闘の末にどうにか壁面が立ち上がり、屋根を上げ、床を張り、窓や扉を入れ、内壁、外壁の塗装をし、どうにか小屋が立った。形はできた。だが、丸太のすき間を埋める作業が残った。
すき間詰めは、最初は安価なコーキング材を使う予定だったが、高いコーキングを仕入れてしまい、予算オーバー。途中から誰の助言か知らないが、赤土、白セメント、ボンドを混ぜるという代案が採用された。これが、なかなか大変で、作業が大幅に遅れた。その間に何回、打ち上げ、完成祝いをしたことか!
ともあれ、山奥の丸太小屋の解体、搬出から始まった移築計画が、1年余の歳月を経て、ようやく完成を見た。重労働の連続にもかかわらず、駆けつけてくれた仲間に深く、深く感謝するしかない。
その、みんなの汗と涙と酒の結晶が、新しい地でこれからまた何年も生きる。そのことが、ただうれしい。

テラスも出現、形ができた!

手づくりコーキング材で最後の試練

解体から1年、ついに再生!